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2025年06月

2025.06.30

SUBIRA新聞 令和7年7月号

2025.06.23

今朝の気づき 心のノートに #3 つながりの力

2025.6.23 つながりの力

産業革命以前、労働の成果は人の手にかかっていました。働いた分だけ成果が得られ、生活もそれに準じたものでした。しかし、機械が登場すると状況は一変します。機械を所有し、それを動かすことで富を得る「ブルジョアジー」と呼ばれる階級が誕生し、生産性は飛躍的に上がりました。

 

そんな彼らのライフスタイルは、「街に出て、おしゃれをし、同じ立場の人たちと会話を楽しむ」ことがステータスとされていました。しかし、その中には、社交的でない人たちも当然いたのです。彼らは着飾って街に出ても、話しかける勇気が出ずにそのまま帰ってしまう。そんな経験を繰り返す中で、深い孤独に苦しみ始めた人たちがいたと言います。

 

その孤独を埋めるために「話し相手を雇う」というサービスが生まれました。条件は「笑顔で話を聞いてくれること」。これがやがて、バーテンダーやカウンセラーなど“人の話を聞く”職業へと発展していったとも言われています。

 

そして、現代。2022年の調査では、「死に直結する生活習慣」の中で、最も影響が大きいのは孤独であるという結果が出ています。過度な飲酒や喫煙を抑え、孤独が1位。人は“つながり”がないことで、心身に深い影響を受けてしまうのです。

 

現代はインターネットで簡単に人とつながれる時代と言われますが、実際には「どこにも所属していない」と感じている人が多いのも事実。かつては地域や家族、自然とできたコミュニティが今は希薄で、自分で居場所を探さないと“誰ともつながれない”時代になっています。

 

だからこそ、私たちが大切にしたいのは 「人との関係性」 です。

お客様と接するときも、単なるサービスの提供者と利用者ではなく、一人の人間同士としてつながること。相手の話にしっかり耳を傾けること、笑顔で受け入れること、そこにあるのは単なる接客ではなく、「あなたはここにいていい」というメッセージです。

 

どんな立場の人でも、どんな状況でも。分け隔てなく、受け入れ、つながりを感じられる関係づくり。それは、お客様にとっての「居場所」となり、やがてスタッフ自身にとってもあたたかいコミュニティとなっていくはずです。

 

小さなやりとりの中に、心をつなぐ力がある。

今この時代だからこそ、「人と人とのつながり」を大切にしていきたいですね。

2025.06.16

今朝の気づき 心のノートに #2 大切なこと

612日 目に見えない大切なこと

おはようございます

私の好きな民俗学者・柳田国男さんの本には、昔話や伝承が語り継がれてきた地方の風景とともに、人とモノ、神様や自然とのあたたかく不思議な関係がたくさん紹介されています。

たくさんある話の中から、私が特に印象に残った話を簡単に紹介したいと思います。

 

ある町に、小さな祠(ほこら)がありました。

そこには、昔から大切にされてきた仏像が祀られているのですが、その仏像、しっかりと固定されておらず、ただ立てかけてあったそうです。

あるとき、子どもたちがその仏像を持ち出して、坂道を転がしたり、ごろごろ遊び道具にしていたのだとか。

そのうちに顔はすっかり擦り減ってしまい、「顔のない仏様」になってしまいました。

 

それを見た地域の町長さんが「これはまずい」と思い、仏像で遊ぶことを子どもたちに禁止するようにしました。

 

ところが、その直後から町長さんは体調を崩し、ずっと寝込んでしまいます。

いったい何が起きたのか――。

 

そのとき、町には「仏像の声が聞こえる」というおじさんがいて、町長がその人に相談したところ、「仏像が乗り移った」と言うのです。

 

そして、仏像の“声”はこう語ったのだそうです。

 

> 「お前はなんてことをしてくれたんだ。

私は子どもたちと毎日楽しく遊んでいたのに、どうしてそれを止めたんだ。」

 

この言葉を受けて、町長さんは仏像で遊ぶのを禁止するのをやめました。

すると不思議なことに、体調はみるみる回復したそうです。

 

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私はこの話を読み、深い気づきを感じました。

大切にすることはもちろん大事。

でも、「大切にする」の意味が、時として一方的な思い込みになっていないか。

相手(この場合は仏像)の気持ちになって考える――

そんな発想は、普段の自分にはまったくなかったなと。

 

それまでは「子どもたちが悪い」「傷つけるのはダメ」と思っていたけれど、

仏像の側からすれば、子どもたちと一緒に遊ぶ時間こそが喜びだったのかもしれない。

 

日本の各地には、こうした話がたくさん残っています。

それを語り継ぐ「語り手」がいて、その物語を通して、私たちは“目に見えない大切なこと”に気づかされます。

 

私はそういう話がとても好きです。

小さい頃からこのような伝統文化に囲まれて育ったわけではありませんが、

「何かの立場になって考えてみる」「見えない声にも意味がある」

そんな感覚を大事にしながら、これからもいろんな物語に耳を傾けていきたいと思っています。

2025.06.04

今朝の気づき 心のノートに #1 田植え

このたび弊社では、代表が朝礼で語ることばを、ブログでお届けしていくことになりました。 タイトルは『今朝の気づき、心のノートに』です。

慌ただしい毎日の中で、ほんの少しだけ立ち止まり、ちいさな気づきを楽しんでもらえたらと思っています。

定期的に更新してまいりますので、ぜひ楽しみにお待ちください

2025.5.30 田植え

おはようございます

先日、知人との会話で、雨の中で田植えをしたという話を聞きました。

この「雨」と「田植え」、実はとても深い関係があるってご存知ですか? 田植えをする女性のことを「早乙女(サオトメ)」って言いますよね。 何気なく聞いていたこの言葉、なぜ「サオトメ」なんだろう?とふと思い、調べてみました。

すると、驚きの事実が! まず「サ」という音には、なんと「田んぼの神様」という意味があるそうです。

そしてその神様が田植えをする人=「サオトメ」。田植えをする月=「サツキ(皐月)」。

雨が降って田んぼが潤うことが神様の恵みなのですね   もっと面白いのが、「酒」という言葉。これはもともと、田の神様に捧げる飲み物を指していたそうです。 そしてそのお供として添える食べ物を「酒の肴(さかな)」と呼んでいたとか。  こういう神事的な背景があると聞くと、すべてに意味があったのですね。    

さらにさらに! 田植え前には、田の神様はまだ山にいて、家の中に宿っているとも言われていたそうで……その神様がいらっしゃる場所を「サモクラ」、それが転じて「桜」となったという説も。 つまり、桜の花の中には、田んぼの神様が宿っているという神話的なイメージがあって、春に咲く桜がその神様の訪れを知らせるサインだったんのですね。そしてその神様が降りてきて田植えが始まる、という美しい物語があったのです。  

今日は「五月雨(さみだれ)」、今年最後の五月雨です。普段何気なく使っている言葉の中に、こんなにも自然と神様と暮らしが結びついた世界があるなんて、ちょっと感動しませんか?

そんなわけで、今日は日本語の奥深さに触れながら、有終の美を飾る一日にしましょう

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